骨粗しょう症とは
古くなった骨の成分は破骨細胞によってどんどん壊され体外に排出されます。一方、骨芽細胞によって新しい骨の成分がつくられ排出された分が補填され、常に新陳代謝しながら一定の硬度を保っています。
この骨の新陳代謝のシステムが障害され、破骨細胞の方が働きすぎたり、骨芽細胞がきちんと働かなくなったりすると、古い骨の成分だけがどんどん排出され、骨は軽石のようにスカスカでもろい状態になってしまいます。これが骨粗しょう症です。骨粗しょう症は加齢、喫煙、多量飲酒などでもおこりますが、とくに閉経による女性ホルモンの変化が大きく関わってきます。
骨粗しょう症になると、ちょっとした衝撃ですぐに骨折する可能性があります。定期的に骨密度を確認し早期に治療することが大切です。
治療と生活改善で
骨折リスクが減少します
骨芽細胞による骨の再生能力が弱まっていくと、骨密度は低下していきます。
骨密度が低下し過ぎて骨粗しょう症になってしまうと、普通に生活しているだけでも身体の重みで背骨が潰れたり、骨が変形して圧迫骨折を起こしてしまう他、ちょっとぶつけただけで骨折するようになります。
とくに体を支える骨が骨折した場合、療養している間に歩行困難となり、要介護のリスクが高まります。
こうした状態になる前に適切な治療を受け、食生活、運動週間など日常生活の改善をはかることで、骨折リスクを大きく低減することが可能になります。
女性は60歳になる前に
一度は検査を
骨密度低下の最大の理由は加齢による骨芽細胞の働きの低下です。女性の場合、閉経をきっかけとする、女性ホルモンのバランスの変化によって、さらに骨粗しょう症のリスクが増大します。それは、女性ホルモンの一種であるエストロゲンが閉経をきっかけに卵巣で産生されなくなるためです。エストロゲンは女性特有の臓器に働くだけではなく、骨にも良い影響をあたえ、破骨細胞の働きを緩やかにして、古くなった骨を吸収する速度を遅くしています。エストロゲンは閉経後も脂肪細胞などからわずかに産生されますが、その量は閉経前と比べて10分の1程度と考えられており、それによって骨の吸収スピードが速まって、骨粗しょう症をおこしやすい状態になります。
女性の閉経年齢は平均55歳ごろと言います。その時点からだんだん骨量の低下傾向が進んでいきますので、骨粗しょう症があまり進行しないうちの55~60までの間に骨量や骨密度の検査をしておくことをお勧めします。
骨粗しょう症の治療
について
食事療法
骨の主成分はカルシウムやたんぱく質です。また、破骨細胞が古い骨の成分を吸収し、骨芽細胞が新しい成分を供給していくシステムを骨のリモデリングと言いますが、それに必要な栄養素はビタミンDやKなどです。これらの多く含まれる食品を積極的に摂取し、さらに全体のバランスが取れている食事が大切です。
アルコールやカフェインの摂り過ぎはカルシウムを尿として排出しやすい傾向があります。またリンは血中でカルシウムとバランスをとろうとする性質があり、あまり摂り過ぎると骨からカルシウムを吸収してしまう傾向があるため、控えるようにしましょう。
運動療法
骨には、体重による負荷がかかればかかるほど丈夫になろうとする性質があります。また筋肉は関節や骨などを支えて身体全体のバランスの保持力を向上させます。筋肉が増強されると、転倒などのリスクも低減されることになるため、運動習慣は大切です。
あまり激しい運動は逆に故障の原因となることもあります。適度な有酸素運動、なかでもウォーキングなどは特別な道具や環境に限らず実行できるためお勧めです。最初は1日30分程度からはじめて、毎日続けることが大切です。毎日が無理な場合は週に3回程度からでも大丈夫です。