花粉症とは
花粉症は、大気の流れに乗って飛散する植物の花粉が原因で、くしゃみ、鼻水、鼻詰まりというアレルギー性鼻炎の症状や、目のかゆみ、充血、涙目などアレルギー性結膜炎といった症状を引き起こす、季節型アレルギー性鼻炎です。
重症化すると、アレルギー症状は全身に拡がり、のどの痛みや咳、頭痛、皮膚の炎症、倦怠感、不眠、イライラ感などがあらわれます。
アレルギー性の炎症の症状は風邪、インフルエンザ、新型コロナ感染症などとよく似ており、しっかりと鑑別することが大切です。
花粉症の原因
花粉症をおこす原因として、春のスギ、ヒノキ、春から夏にかけてハンノキやシラカンバ、秋にはブタクサ、ヨモギ、カモガヤなど真冬を除いて様々な草木の花粉が飛び交っています。これらが飛来する季節にアレルギー症状がおこるため、花粉症は季節性アレルギーの代表となっています。現在、日本では4割近い方がスギ花粉に対するアレルギーをもっているとも言われています。
花粉症の検査と診断
本来、花粉は人体に対して無害なものが多いのですが、現代は大気中に化学物質などが含まれ、その相互作用で、花粉を異物と誤感知し、免疫反応をおこしてしまうことが原因の1つとして考えられています。
花粉症を含むアレルギー性疾患を治療するために一番大切なことは、何がアレルゲンとなっているかをはっきりさせることです。
そのため、血液検査を行って、アレルギー症状をおこすアレルゲンの特定をすることが重要です。
血液検査
アレルギー反応をおこすと、血液中にはその物質に対する抗体ができます。それが免疫グロブリン(Ig)という物質のうちのEというタイプでIgE抗体とよばれています。本来、IgEは体内に入った異物と排除する働きがありますが、免疫システムが過剰反応してしまうことがあり、アレルギーの原因となります。血液検査では血液中に含まれるすべてのIgEをあらわす総IgEの量と、個々のアレルゲンに対する特異的IgE抗体検査を行います。
特異的IgEはどの物質がアレルギーをおこしているかがわかり、総IgE値はアレルギーの有無とその程度がわかります。
当院では、「Viewアレルギー39検査」を健康保険適用の範囲で行っております。このアレルギー検査は、スギ、ヒノキ、ハンノキ、カモガヤ、ヨモギ、ブタクサ、オオアワガエリなど花粉症をおこすアレルゲンの他、ダニ、ハウスダスト、イヌ、ネコ、カビといった吸入系アレルゲン、卵、牛乳、小麦粉などの食物系アレルゲンをあわせて39種類のアレルゲンを一度に調べることができるものです。
花粉の飛散シーズン・
ピーク前に来院してください
花粉症は、テレビやスマホの天気予報で花粉の飛来情報を確認できます。スギ花粉は2月に入ると飛来する量が多くなってきて、2月の終わりごろから4月の頭ごろまでがピークとなるというように、植物によって花粉が飛来するパターンがあります。これらの情報をあわせて、その年の飛来のピークがくる2週間前から治療を開始することで、その年のシーズンを比較的楽に越すことができます。
初めて花粉症になってしまった、多忙で飛来のピーク前に受診できなかったなどの際には、即効性のある治療を行うこともできます。花粉症に苦しんでいる方は、いつでも当院までご相談ください。
花粉症と風邪の見分け方
風邪と花粉症は、鼻やのどの炎症という点では同じです。細菌やウイルス感染とアレルゲンによる発症という点では異なりますが、症状に共通する部分が多く、見分けが難しいケースもあります。以下に一般的な違いについてまとめてますが、当てはまらない場合もあります。お困りの際には、自己判断せずにまずは受診してください。
症状 | 花粉症 | 風邪 |
---|---|---|
症状が続く期間 | 飛散する時期を通して | 1日~数日程度で症状が治まる |
鼻水 | 水のように透明でサラサラしている | 粘性が高く、白や黄色 |
発熱 | あっても微熱程度 | 高熱を出す時も |
喉 | あまり痛まず違和感程度 | 痛みがあり腫れることも |
頭痛 | 軽い頭痛がおこることもある | 強い頭痛がおこることがある |
咳や痰 | それほど多くない | 多くの場合伴う |
治療について
花粉症の症状は、マスト細胞にとりついた特異的IgE抗体がもう一方の端でアレルゲンと結びつくとマスト細胞が刺激されヒスタミンなどの物質放出することによって炎症がおこり、症状があらわれます。
そのため、飛来時期の2週間程度前から患者様の症状にあわせて抗ヒスタミン薬、目の症状が強い場合は点眼薬、鼻炎がひどい場合は点鼻薬などを投与することで、症状を落ち着かせて花粉症シーズンも楽に過ごすことができるようになります。
抗ヒスタミン薬の中には眠くなってしまう副作用が強いものもあります。当院では患者様の生活形態にあわせて、あまり眠くならないタイプのお薬も処方することができます。
予防対策について
一度花粉症になると、減感作療法などの根治治療を行わないかぎり、毎年症状があらわれます。また根治療法もかならずしもすべての方に効果が得られるわけではありません。現在のところ一番有効な治療は、花粉が飛来する前の早期に治療を開始しておくことです。
また日常生活上では、できるだけアレルゲンに触れないことが基本的なアレルギーの対策です。
外出時には、花粉に触れないよう、帽子、メガネ(ゴーグル)、マスクなどで顔をおおい、手足などもあまり晒さないことが有効です。
外側に着る服の素材としては、できるだけツルツルとして花粉やごみなどが付着しにくいものがよいでしょう。
外出から戻ったら、玄関に入る前に、帽子や外側に着ていたコートなどを脱いで、付着している花粉を払い落として、屋内に花粉をもちこまないようにしましょう。
コートや帽子などは、玄関にフックをつけてそこに掛けておき、居間や寝室には持ち込まないようにします。
屋内に入ったら、すぐに手洗い、洗顔、うがいをしましょう。
こまめに掃除をし、空気清浄機を使用するなどで清浄を保ち、加湿器なども使用して乾燥をふせぐようにしましょう。
また、体力が下がって抵抗力が衰えるのを防ぐため、バランスの良い食事、十分な睡眠と休息、ストレス発散といった生活習慣の改善もアレルギーを重症化させないために大切です。