現役の糖尿病内科医が解説!~糖尿病の意外な原因、9つ~
当院は糖尿病専門医である薗田が年間5000〜10000件もの外来を行っていますが、運動や食事を気を付けているのに、中々血糖値が改善しない…と悩む方も多いです。
実は日本人は膵臓が弱く糖尿病になりやすいことをご存じでしょうか?
糖尿病が生活習慣病だという考えは、もう古いかもしれません。
血糖値に対して、良いと言われることをたくさんするより、悪いと言われることを減らしていくほうが実践しやすく、効果も非常に高いです。
そこで今回は、意外と知られていない血糖値が高い人の原因9つを紹介します!
既に糖尿病と言われている方、予防を頑張っている方、
両者に役立つ内容となっているので最後までご覧ください!
原因①軽視されがちな「遺伝」の要素師
糖尿病は遺伝による影響がかなり大きいのですが、ここを理解していない医師も多いです。
頑張っているのに、食べすぎだ、運動をもっとしろ、と厳しく言われた経験はないですか?
アメリカ人に比べて日本人は民族的にリスクがあるんです。
実際、アメリカ人はBMI30以上が肥満であるのに対し、日本人はBMI25以上で肥満と定義しているのは、病気のリスクが上がってしまうからなんです。
親が糖尿病の場合のリスク
両親が糖尿病であった場合、生活習慣がほんの少し乱れただけで糖尿病を発症確率が急上昇します。
片親だけが糖尿病である場合はストイックに頑張ることで予防できる可能性が高いです!
既に遺伝がある方へ、お伝えしたいことは「頑なに薬を使うことを否定しない」ということ。
遺伝があると分かっていれば、早めに対応することで生活の質を保つことができます。
薬を使うことで血管を傷つけることも、別の病気のリスクを減らすこともできます。
原因② ストレス
人は軽度のストレスで食欲が増進するともいわれています。
単純に食事量が増えるために血糖値が上がるとも言えますが、それ以外にもストレスで分泌されるホルモンが血糖値を上げてしまいます。
血糖値に関わるホルモンは大きく3つあります。
①ステロイド
②カテコラミン
③成長ホルモン
特に①と②がストレスに関与します。
血糖値を上げるストレスホルモン
①ステロイドホルモン
別名「糖質コルチコイド」と呼ばれています。名前に「糖質」が付いている通り、血糖値を上げる作用があります。
糖質コルチコイドの一種である「コルチゾール」というホルモンが働き、ストレスがかかると分泌されます。
これが過剰分泌してしまう病気で、「クッシング症候群」というものがありますが、そこから糖尿病になってしまう方も多いです。
②カテコラミン
これはアドレナリン系のホルモンです。ストレスや激しすぎる筋トレなどでアドレナリンが優位になると一時的に血糖値が上がることがあります。
こちらも糖尿病のリスクを高めることになるので、ストレスはうまく発散するように心がけましょう。
原因③ 睡眠時間
睡眠不足も血糖値を上げる原因となります。寝不足によりストレスホルモンが分泌され、先ほどの内容同様に血糖値を上昇させます。
最も糖尿病になりにくい睡眠時間は約7~8時間と言われています。
睡眠時間が短すぎても、長すぎても糖尿病のリスクが上がってしまうんです。
睡眠時間もしっかり確保するように心がけましょう!
原因④ 隠れている「1型糖尿病」
糖尿病にも種類があることをご存じでしょうか?
大きく分けると1型、2型ですが、1型糖尿病はさらに3つに分類できます。
※1型糖尿病…膵臓のβ細胞が壊れ、インスリンが出なくなる
※2型糖尿病…遺伝や生活習慣によりインスリンの効きが悪くなる
【1型糖尿病の種類】
①劇症型…最も急激な発症経過をたどる
②急性発症型…1型の中でも頻度の高い典型的なタイプ
③緩徐進行型…半年~数年かけてゆっくりとインスリン分泌が低下
2型糖尿病と間違えやすい!「緩徐進行型」
こちらは2型糖尿病のようにゆっくりインスリン分泌が低下していくため、専門医でも判断が難しいことがあります。
食事や運動を完璧にこなしても、中々血糖値が下がらない場合1型糖尿病が隠れているかもしれません。
緩徐進行1型糖尿病を見逃して、2型と同じ治療を続けている場合、膵臓の負担が大きく生涯のインスリン分泌量が減ってしまうといわれています。
当院では1型糖尿病の検査が可能!
当院のクリニックでは、このような見落としが発生しないよう、1型糖尿病の検査を行っています。
血液検査で判断できますので、今までチェックしていない痩せ型の糖尿病患者さんは1度検査することをオススメしています。
1型糖尿病の検査予約はこちらから、お願いいたします。
2型から1型へ!診断が変わった患者さんのリアル
2型だと思ったら1型糖尿病だった患者さん。体験談を載せていますので、是非見てみてくださいね!
原因⑤ 隠れている「癌」
血糖値を下げるホルモン「インスリン」は膵臓から分泌されます。糖尿病の患者さんは膵臓癌のリスクが1.8倍にもなると言われています。
また、血糖値にものすごく関連の深い「肝臓」。
肝臓癌が背景にあり、糖尿病を発症してしまう患者さんもいらっしゃいます。
糖尿病の診断を受けても、腹部エコー検査やCT、大腸カメラや胃カメラを1回も受けていない方は、しっかり受けることで大きな病気を予防できる可能性があります。
必ず検査を行うようにしましょう!
原因⑥ 運動不足
運動不足があると血糖値は上がりやすくなります。運動をすることで筋肉が血糖を取り込み、インスリンを節約できますよ!
日ごろ運動不足で、できれば運動しないで血糖値を下げたい!という方は、YouTubeに楽な運動をアップしているので1回やってみてくださいね。
原因⑦ 「有酸素運動」ばかりを行っている
こちらは痩せ型の人で多いです。
有酸素運動は確実に血糖値を下げることができます。しかし、有酸素運動ばかりで筋トレ(無酸素運動)をしていない場合、逆に筋肉が落ちてしまう可能性も…。
さきほど記載した通り、運動をすると筋肉が血糖を取り込んでくれます。
しかし、筋肉の量が少ないと一度に取り込める血糖の量も少なくなります。(=血糖値が下がりにくい)
血糖値の下がりにくさをインスリン抵抗性といいます。
筋トレを併せて行い、筋肉を増やすとインスリン抵抗性が改善!
血糖値が下がりやすくなりますよ!
原因⑧ カロリーオーバー
摂取量が多いと血糖値は上がりやすくなります。糖質と脂質を過剰に摂ってしまうことで、高血糖状態が続きやすくなるため適正カロリーを摂取することは非常に大切です。
健康意識が高い人ほど陥りやすい罠
PFCバランスや血糖値を上げない食事を過剰に意識するあまり、カロリーを無視してしまう方もいらっしゃいます。
たとえば、プロテイン。
血糖値が上がりにくいからといって、過剰に摂ってしまうとたんぱく質、カロリーオーバーになってしまいます。
また、身体に良いと言われる油やアボカド、ナッツ類などは脂質の量が多いため、過剰にとるとあっという間にカロリーオーバーしてしまいます。
患者さんにもよくお話しますが、
①摂取カロリー ②PFCバランス ③食べ物の質
この順番を大切に、食事を選択してみてくださいね!
糖尿病発症前に肥満の治療をしたい方はこちらから!
適正カロリーの計算方法
摂取カロリーが大切!と分かっても、どのくらい摂ったらいいのか把握できていない方も多いです。
計算方法を記載するので、是非一度確認してみてくださいね。
原因⑨ 加齢の影響
あまり知られていないかもしれませんが、「遺伝・生活習慣・加齢」この3つは同じくらいのリスクファクターを持っています。
加齢が一番強いと言っても過言ではないかもしれません。
どうしても加齢とともに糖の代謝が低下してしまいます。
現在はこの加齢に着目した「ツイミーグ」という面白い薬も開発されていますよ!
まとめ
いかがでしたでしょうか?遺伝や加齢の影響もある、と予め知っておくことで早くに予防ができると思います。
頑なに薬を否定するのではなく、うまく活用しながら生活の質を保っていただければと思っています。
また、遺伝の要素がなく、生活習慣がしっかりしているのに糖尿病の場合は癌が隠れているかもしれません。
腹部エコー検査やCT、大腸カメラ・胃カメラなどしっかり行うようにしましょう。
みなさんの予防・治療に少しでも寄り添えれば幸いです。
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