【HbA1cを着実に下げる方法】糖質制限は糖尿病を悪化させる⁉
年間10000件もの外来を行っている、現役糖尿病内科医の薗田です。
皆さん普段、糖質はとっていますか?
糖尿病の診断をされた方やダイエット中の方の中には、糖質を完全にカットされている方もいらっしゃるかと思います。
一昔前、糖質制限が流行っていた時期もありましたが、実は糖質制限には大きな罠があるんです・・・
本日は、なかなかHbA1cが改善しない方、血糖値スパイクが気になっている方、リバウンドを繰り返してダイエットが長く続かない方などに参考になる内容になっていると思いますので、是非最後までご覧ください。
糖質を摂ってHbA1cが改善したお話
私の患者さんの中で、HbA1cが12.3あった方に「糖質をしっかり摂りましょう」と指導したら、6か月でHbA1cが5.8まで改善した事例があります。
その方は、少しずつ薬を減らしており、もう少しで全ての薬をやめられるところまで近づいています。
糖質は血糖値を上げるものと知られているため、糖質を摂ってHbA1cが改善するのは違和感を覚えると思います。
しかし、糖質をしっかり摂取することで糖尿病が良くなることは医学的にも証明されています。
大切なのは、糖質をしっかり理解し、正しい摂り方をすることです。
それでは、糖質の正しい摂り方を学び、糖尿病を管理していきましょう。
糖質を全く摂らないとどうなるの?
では、糖質を全く摂らない生活をすると身体でどのようなことが起こるのでしょうか。
血糖値スパイクを起こしやすくなる
血糖値スパイクはご存知でしょうか?
上の画像のように、血糖値が上がって、下がる山のことを血糖値スパイクを呼んでいます。
糖質を制限しすぎるとこの血糖値スパイクを起こしやすくなります。
これらは臨床検査でも立証されており、2~3週間糖質制限をしたら血糖値スパイクをより起こしやすくなるという結果がでています。
ではなぜ血糖値スパイクは起こりやすくなるのでしょうか?
膵臓からは血糖値を下げる「インスリン」というホルモンが分泌されていますが、糖質が全く身体に入ってこないと、膵臓がのんびりしててもいいんだと錯覚し、怠けてしまいインスリンの分泌能力が低下してしまうのです。
糖質を摂ると血糖値があがってしまうイメージがあって摂るのが怖いとおっしゃる方も多いですが、糖質を制限しすぎると糖質に反応できない身体になり、逆に血糖値スパイクを起こしやすい体質になってしまいます。
当院では、フリースタイルリブレを用いて血糖値の上昇をみてもらっています。
そこでも、普段、糖質を制限している方がちょこっと糖質をとっただけで、異常な血糖値スパイクを起こしてしまう例は珍しくありません。
血糖値のコントロールに真面目であればあるほど陥りやすい罠なので注意してください!
インスリン抵抗性が起こる
2つ目は、糖質を制限している方の多くはおかずを多く食べるため、たんぱく質や脂質を過剰に摂取してしまう傾向があります。
特に、脂質の摂りすぎには注意が必要です。
脂質を摂りすぎると、インスリン抵抗といって血糖値を下げにくい体質になってしまいます。
おかずも食べ過ぎてしまってはカロリーオーバーや脂質の摂りすぎに繋がってしまいますので、PFCバランスを整えることが大切ですね。
”糖質”完全攻略!糖質を摂りながらHbA1cを下げる方法
HbA1cを下げるには、ただ糖質を摂っていれば良いわけではありません。
これから、糖質摂取のポイントを3つ紹介します。
糖質の質
1つ目のポイント、「糖質の質」です。
糖質には単純糖質と複合糖質の2種類が存在します。
◎単純糖質
糖が1~2つ結合してできている。
体内への吸収速度が速く、血糖値が急激に上昇する。
例)砂糖、お菓子、ジュース、果物など
◎複合糖質
糖が多く連なってできている。
体内への吸収速度がゆっくり、血糖値の上がり方も緩やか。
例)ごはん、パン、芋、麺類
ごはん1杯(150g)とコーラ1本(500ml)を摂るのでは、どちらの方がお腹がいっぱいになるでしょうか?
ごはんと答える方が多いでしょう。
実は、ごはん1杯とコーラ1本はだいたい同じ糖質の量なんです・・・
コーラなどのジュース類は単純糖質がいっぱい入った液体です。
単純糖質は体内への吸収スピードが速く、急激に血糖値が上昇します。
通常なら、血糖値を下げるホルモンであるインスリンが膵臓から分泌されるのですが、急激な血糖上昇に対応しきれなくなります。
また、インスリンは満腹中枢を刺激して満腹感を得る作用がありますが、インスリンの対応が間に合わないため満腹感を得られないまま、ごはん1杯と同じ糖質量を摂っているにも関わらず次々と食べたり飲んだりしてしまうのです。
つまり、単純糖質ではなく、ごはん、パン、麺類などの複合糖質をとることが重要で、特におすすめなのが「玄米」や「全粒粉パン」です。
これらは糖質だけでなく、食物繊維も一緒に摂ることができるため、腸内環境を整え、血糖値の急上昇を抑えてくれます。
ちなみに、糖尿病で緊急入院が多い季節は「夏」です。暑さの厳しい夏はスポーツ飲料やジュースなどの摂取量が増える傾向があるため、注意が必要です。
糖質の摂取量
2つ目のポイントは、「糖質の摂取量」です。
1日の推奨エネルギー量は、身長、年齢、性別、活動量などで決まりますが、学会や厚生労働省が掲げている適切な糖質の量は、総エネルギー量のうち、50%は糖質をとることが理想とされています。
例えば、身長170cmの男性で、全く運動しない人の1日の推奨エネルギー量は1600~1700kcalが目安ですが、糖質の量は約200gになります。1食あたりのごはんの量は、お茶碗普通盛り150gくらいです。
人によってごはんの目安量は違うため、医師や管理栄養士との相談は必要ですが、どんな体型、年齢の方でも1日少なくても糖質120gほど摂るのが理想とされています。
糖質120gを1食分のご飯の量に換算するとだいたい小盛茶碗1杯100g⁽=糖質量約40g)くらいです。朝・昼・夕の3食とも、最低でも100gはごはんを食べるようにしましょう。
糖質の摂り方・摂取した後
3つ目のポイントは、「糖質をどのように摂取するか・摂取した後どのように過ごすか」です。
糖質の摂り方
血糖値を上げない糖質の摂り方は、「糖質は最後に摂る」ことです。
よく、べジファーストという言葉が使われますが、
野菜→肉→ごはん
の順で食べるのが血糖値を上げない食べ方です。
そして、ベジファーストしても早食いしては意味がありません。
どんなに早くても食事に15分以上はかけてください。
↓食べ順について詳しく解説している動画がありますので、興味のある方見てみてください★
食後の運動
糖質を摂ったあとは「運動」をするようにしましょう。
私自身も大のラーメン好きなのですが、ラーメンを食べたあとは回り道をして散歩をするようにしています。
私の患者さんの中でも、フリースタイルリブレを付けている方は、運動の効果を実感される方が多いです。
↓食後に何の運動をしたらいいか分からない方は、下記の動画を参考にしてみてください★
特に注意してほしいのが、夜遅い時間の食事の後です。
夕食に糖質を過剰に摂取したあと、そのまま寝てしまうと血糖値が下がりきらず血糖値が高い状態を維持したままになります。
HbA1cは2~3か月の平均的な血糖値を示すものなので、血糖値が高い状態を維持してしまうとHbA1cが上がってしまうのです。
食べ順と食後の運動を意識して、血糖値が高い状態で就寝しないようにしましょう!
まとめ
最後までご覧いただきありがとうございます!
糖質を摂取して、血糖値が改善するという意外な内容だったかと思います。
HbA1cが下がらずに困っている方は、糖質を摂ることを恐れず意識してとってみてくださいね。
当院では、管理栄養士による栄養相談を実施しています。
今回のテーマであった糖質の量やその他、食事で困っている方はぜひ栄養相談をご利用ください。
また、血糖値の変動をリアルタイムで測定するフリースタイルリブレは、当院でも販売しております。
患者さんによりますが、保険適用も可能ですので、気になる方はお待ちしております。
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