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【人によって違う⁉︎】HbA1cの目標値を徹底解説!

その他糖尿病関連  / 院長の独り言

年間10000件もの外来を行っている、現役糖尿病内科医の薗田です。

私は渋谷のど真ん中に糖尿病・甲状腺を専門としたクリニックの院長をしております。

ありがたいことにクリニックを開院して1年経ちました。

今では九州や北海道から通院してくださる方もおり、本当に身が引き締まる思いです。

月に1000件ほど、糖尿病をはじめとする生活習慣病の外来を行っているのですが、転院されて来られる方も結構いらっしゃいます。

そんな中、HbA1cの目標値が曖昧であったり、目標とする摂取カロリーの指示がなかったりと具体的な治療を受けて来られなかった患者さんも多くいらっしゃいます。

糖尿病の治療は、食事、運動が基本的な治療法なので、患者さん自身の努力が必要不可欠です。

当院では、患者さんのやる気の向上やモチベーションを維持するために目標設定は徹底的に行うようにしています。

本日は、HbA1cの目標値について解説しています。

個人の私見も一部ありますが、糖尿病治療を日々頑張っている皆様に、役立ててほしい内容となっていますので、どうぞ最後まで読んでいただけると嬉しいです。

 

HbA1cの本当の目標値~大切な4つのポイント~

日本糖尿病学会では、血糖値正常化を目指す際の目標がHbA1c6%未満、合併症予防のための目標がHbA1c7%未満、治療強化が困難な際の目標がHbA1c8%未満とされています。

同じ糖尿病でも、人によって置かれている状況は異なるため、一人一人目標値も変わってきます。

今回は、HbA1cの目標値の立て方のポイントをこれから4つ紹介します。

診断された時期によるHbA1cの目標値

糖尿病と診断されて1年未満

糖尿病と診断されて1年未満の方は、HbA1c5%を目指しましょう。

糖尿病は1度なってしまうと治らない病気と言われていますが、寛解状態にもってくることは可能です。つまり、HbA1cを6%未満になると寛解と言われる状態で、「治ったような状態」にもってくることができるのです。

理由としては、糖尿病と診断されたばかりの方はHbA1cが下がりやすい傾向にあります。

少し頑張ると数値が良くなるため、モチベーションを維持しやすいのです。

健康診断なので糖尿病の疑いがある場合は、HbA1cが下がりやすいうちに早めに受診し治療することが大切ですね。

糖尿病の期間が5~10年程の方

糖尿病の期間が5~10年の方は、HbA1c6%を目指しましょう。

熊本スタディはご存じでしょうか?

 

             (出典:Diabetes Res Clin Pract.1995;28:103-17.)

熊本スタディとは、熊本大学をはじめとする施設で2型糖尿病に対する介入研究を行った結果です。

横軸がHbA1c、縦軸が合併症発症の割合を示しています。

グラフでも分かるように、HbA1c7%未満の方は合併症の発症率が低かったことから、合併症予防の目標値をHbA1c7%未満としています。

診断時期によるHbA1cの目標値まとめ

◎糖尿病と診断されて1年未満・・・HbA1c5%

◎糖尿病の期間が5~10年・・・HbA1c6%

 

年齢と認知機能によるHbA1cの目標値

年齢

年齢によってもHbA1cの目標値は変わってくると考えられます。

熊本スタディの例で考えてみましょう。

上記のグラフは糖尿病の合併症である網膜症の発症率を示したものですが、1年間で10~15%くらい進行すると読み取れます。

例えば、現在30歳の男性が、平均寿命の80歳くらいまで生きたとしましょう。あと50年程生きることになりますが、この合併症ガチャを50回引くことになります。3~4回引いてしまうと、失明の恐れがあるイメージです。発症の年齢が早ければ早いほど、このガチャを引く回数が多くなり、合併症になる確率も上がってしまうのです。

若い時はストイックにHbA1cを下げて、高齢になるにつれて現実的に合併症ガチャを引く頻度が減るのでHbA1cの目標値が緩めていっても良いと考えられます。

年齢によるHbA1cの目標値まとめ

◎若い時・・・ストイックにHbA1cを下げる

◎年齢を重ねる・・・HbA1cの目標値を緩めてもよい

 

認知機能

認知機能の悪い方は、厳しい栄養管理をしてしまうと、低血糖や体調不良などの変化に対応できなくなることが多く、死期が早まると言われています。

医師の中でも、高齢者は、HbA1cの目標値を年齢×0.1%にしましょうという意見がありますが、個人的にはこの目標の立て方は賛成です。

80歳の方は、HbA1cの目標値8%くらいと考えてもよいと個人的には思います。

認知機能の悪い方は、厳しい血糖コントロールは避け、個人の期待寿命に合わせた調整をすることが大切です。

 

                                 (出典:日本糖尿病学会)

糖尿病のタイプによるHbA1cの目標値

1型糖尿病

1型糖尿病とは、インスリンが分泌される膵臓のβ細胞が何らかの理由で破壊され、インスリンの分泌が著しく低下または枯渇してしまう病気です。生活習慣などは関係せず、発症の原因ははっきりとは分かっていませんが、ウイルス感染や遺伝などが要因だと言われています。

この1型糖尿病は、HbA1cを6%前半までコントロールするのは非常に難しいのが現状です。

実際、1型糖尿病の方がHbA1c6%までにコントロールしてしまうと、低血糖になり救急車で運ばれるケースも多いです。

1型糖尿病のHbA1cの目標値は個人によって違うため、主治医や看護師、管理栄養士と一緒に相談しながら進めていく必要があります。

 

2型糖尿病

2型糖尿病は、遺伝や生活習慣、加齢が原因となって引き起こされる病気です。

2型糖尿病は、食事、運動などの生活習慣を改善し、そしてお薬の力を借りてHbA1c6%にできるだけ近づけられるように頑張りましょう。

 

その他の糖尿病

あまり知られていませんが、糖尿病以外の病気が原因で糖尿病が引き起こされる場合があり、膵臓癌膵炎脂肪肝肝硬変などにより糖尿病になる方がいらっしゃいます。

この場合は、HbA1cにこだわらず、原因となる疾患を最優先で治療していく必要があります。

そもそも、糖尿病の診断がついてから内臓系の検査をしたことがない方はこれらの病気が隠れている可能性もあります。

糖尿病と診断されたら、腹部の超音波検査を実施し、他の病気が隠れていないか1度チェックしておいた方がよいでしょう。

糖尿病を治療している病院で、血液検査しか行ったことしかない方は主治医に相談、またはうちのクリニックでも保険適応で実施していますので、気になる方はご来院ください。

また、クリニックを開業して1年くらい経ちますが、腹部超音波検査で腎臓癌や尿管癌などが見つかった方が何人かいらっしゃいます。

糖尿病をきっかけに他の病気を見つかる場合もあります。

糖尿病患者の方の癌のリスクは1.2~1.4倍まで上昇します。特に大腸がんは、1.9倍~2倍に上昇しますので、早めのメディカルチェックが非常に大切です。

 

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使用している糖尿病治療薬によるHbA1cの目標値

SU薬

SU薬は、膵臓を刺激してインスリンの分泌を促進する薬です。余分なインスリンがでることで低血糖を引き起こすリスクがあります。

低血糖は非常に危険なもので、糖尿病の治療では、重症低血糖といって失神するほどの低血糖を起こし、最悪、死に至る場合もあるほど危険なのです。

インスリン

インスリンも同じく、低血糖のリスクが高いお薬です。

私は、SU薬とインスリンは最終手段で、処方する機会は少ないです。

SU薬やインスリンは低血糖のリスクが高いため、HbA1c5~6%を目指すより、7~8%を目指した方が安全で健康的であると言えます。

SU薬・インスリンを使用している場合のHbA1cの目標値・・・HbA1c 7~8%

 

他にも、糖尿病治療薬は9種類あります。

もっと詳しく知りたい方は、こちらのブログもチェックしてみてください↓✨

【医師が解説!】糖尿病治療薬について

 

まとめ

最後までご覧いただきありがとうございます。

本日は、診断時期や年齢、糖尿病のタイプなど、人それぞれHbA1cの目標値は違ってくるという内容でした。

様々な方がいる中で、HbA1c目標値が7%未満というのは違和感を覚えると思います。

しかし、自己判断をしてしまうのは危険ですので、必ず主治医と相談して目標値を決めていきましょう。

 

当院は、糖尿病・甲状腺を専門としたクリニックです。

様々な悩みに寄り添い患者様が少しでも良くなるような診療をおこなっています。

血糖コントロールにお悩みの方、糖尿病と診断されているが腹部超音波などの検査を行ったことがない方などは、是非当院へお越しください。

受診希望の方は、公式LINEより簡単に予約できます!

それでは、お会いできるのを楽しみにしております。

 

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